
住んでれば寝ててもかかる住民税
所得にかかる税金として、所得税とともに身近にあるものに地方税である「住民税」があります。
この住民税には個人住民税と法人住民税がありますが、個人または法人が、住所を有するところや家屋敷、事務所を有するところの地方公共団体に支払わなければならない税金であり、もともと「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせて呼ぶ総称です。
個人の住民税のしくみとしては、道府県民には道府県民税と市町村民税がかかり、東京都の特別区では都民税(道府県民税)と特別区民税(市町村民税)としてかかります。
個人住民税を例にあげると、この道府県民税と市町村民税の中にも、それぞれ「均等割」「所得割」と「利子割」と呼ばれる税金があります。
納税者に均等額を課税するのが「均等割」、納税老の所得の多寡に応じてかかるものが「所得割」、道府県民税に限って預貯金などの利子を受け取るときにかかるものが「利子割」であり、それぞれの税率は図24のとおりです。
所得割は前年の所得に対して課税されるものです。つまり、今年度に納めるべき所得割の税額は前年1年間の所得に対してかげられるものであることから、「住民税は1年遅れ」といわれる所以となっています。
さらに所得割は、障害者や寡婦などで所得の合計が125万円以下の場合には、退職所得以外の所得に対する所得割は課税されないことになっており、この場合、均等割も非課税とされています。(図25)
特定の所得や収入について、所得税では源泉分離課税のシステム(税金の天引きによって納税を完了するシステム)がとられていることは既に説明しましたが、住民税においても本来は所得割の税額計算の中に含めるべきものでも、所得税と同じ理由から、預貯金の利子所得や保険期間5年以内の一時払い養老(損害)保険の差益などの一時所得、一般の証券投資信託の収益分配当などの配当所得などについては「利子割」として源泉分離課税のシステムを取り入れています。
ところで、一般に「住民税がかかる」とか「かからない」とかという場合は、住民税の中でも特に所得割を指しているのですが、この所得割の課税システムというのは所得を基準に課税されるという税金の性質上、所得税の課税システムとしてはほぼ同じものですので、課税システムの考え方としては所得税と住民税の所得割は常に一体のものとして考えても差し支えないでしょう。しかし、課税される所得の計算までにおいて若干のルールに違うところがありますし、課税ルールの最終段階では所得税と住民税ではかなり異なってきます。
法人住民税も個人住民税同様、均等割、法人税割、利子割に区別されます。
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